前号に引き続き2020年度税制改正大綱についてお伝えします。固定資産税について、所有者が分からない場合でも「使用者」に課税できるようにする改正が行われます。
✧ 現在の問題点
現在、固定資産税を納める義務があるのは、登記簿上の所有者です。所有者が死亡して相続登記がされず、新たな納税義務者を特定できない場合には、たとえその不動産を使用している人がいても課税が出来ません。固定資産税を払わずに不動産を使用できるという不公平な状況がありました。
✧ 改正点① 「現に所有している者の申告」の制度化
市町村長は、登記簿上の所有者が死亡している場合、その不動産を現に所有している者に、固定資産税課税に必要な事項を申告させることが出来るようになります。申告がない場合には罰則を設ける予定です。⇒令和2年4月1日以後の各条例施行日以後に適用
✧ 改正点② 「使用者を所有者とみなす制度」の拡大
市町村長は、一定の調査を尽くしてもなお不動産の所有者が1人も明らかとならない場合には、その使用者に対して通知をした上で、その使用者を所有者とみなして、その使用者に固定資産税を課税することができるようになります。⇒令和3年度以後の固定資産税について適用
所有者不明の土地が増えていることは社会の課題となっており、土地の売買が進まないなど適正な土地利用を妨げています。その原因は、現在、相続登記が任意である点にあると言われています。今回の改正では、固定資産税の分野について一歩進んだ改正となりました。法務省は相続登記の義務化に向け、法制度を見直す方針を打ち出しています。今後の動向についても注意が必要となります。
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