国税庁より、所得税基本通達(以下、「所基通」)59-6に関する改正通達が公表されました。本トピックスでは、今後2回にわたり本通達の改正の背景・改正内容などを今後の実務に与える影響も含めて解説していきます。
✧ 要約
未上場株式を個人から法人へ譲渡した場合の所得税法上の時価の算定方法について争われた事案に係る3月24日付の最高裁判所の判決を受け、これまで不明確であった未上場株式の「時価」の取扱いの明確化を図るために見直しが行われました。
また6月30日に本通達改正案に関するパブリックコメントの募集が行われており、その結果も公表されました。この結果の中には所得税及び法人税における今後の未上場株式の評価実務に大きな影響を及ぼすと考えられる国税庁の考え方やコメントに対する回答が示されています。
今後公表される国税庁による解説によっては内容に変更が生じる可能性があることにご留意ください。
✧ 所得税法59条及び所基通59-6の概要
所得税法(以下、「所法」)33条では個人が資産を譲渡した場合には、譲渡対価となる収入金額に基づいて譲渡所得の金額を計算すると規定されています。そのため、原則として、当事者間で合意した金額に基づいて譲渡所得税が計算されます。
しかし、所法59条1項では、個人が法人に対して資産を贈与等又は著しく低い価額で譲渡をした場合には、その時における価額、いわゆる「時価」に相当する金額により譲渡があったものとみなすと規定されています。
ここでいう著しく低い価額とは、所得税法施行令169条において、譲渡時の価額の2分の1に満たない金額とされています。そのため、同項の規定の適用に際しては、贈与等又は譲渡した資産の時価がいくらになるのかが重要となってきます。
未上場株式を贈与等又は譲渡した場合の時価は、所基通59-6において、財産評価基本通達により算定した価額とされています。
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