昨年12月に令和5年税制改正大綱が発表され、いわゆる相続税と贈与税の一体課税の内容が明らかとなってきました。今回は、相続時精算課税制度において新設された基礎控除及び加算期間が延長される暦年贈与の実務上の留意点についてご紹介いたします。
相続時精算課税制度による贈与については年110万円の基礎控除が設けられることとなりました。相続発生時には基礎控除110万円までは相続財産への加算が不要となります。
ただし、同一年中に複数の特定贈与者から贈与を受けた場合には、この基礎控除額110万円について、各特定贈与者からの贈与額に応じて按分した金額が基礎控除額となるため注意が必要です。
<例> 同一年中に特定贈与者A(800万円)、特定贈与者B(200万円)から贈与を受けた場合
A 110万円×800万円/1,000万円=88万円 (Aからの贈与に係る基礎控除額)
B 110万円×200万円/1,000万円=22万円 (Bからの贈与に係る基礎控除額)
相続財産に加算する生前贈与の期間が相続開始前7年以内(現行:3年以内)に延長され、延長される4年間に受けた贈与について、合計100万円までは相続財産に加算されないこととなりました。
この100万円は贈与者ごとにそれぞれ100万円まで加算不要になります。
<例> 延長された4年間でAから500万円、Bから300万円、Cから200万円の贈与を受けた場合
A 500万円ー100万円=400万円(Aの相続財産への加算額)
B 300万円ー100万円=200万円(Bの相続財産への加算額)
C 200万円ー100万円=100万円(Cの相続財産への加算額)
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