決算書読み方Check
決算書の読み方能力 レベルチェック
「粗利益とは何か」「会社の良し悪しを判断するには何を見たら良いか」「繰延資産とは何か」「有価証券の時価評価はどのように行われるのか」。
基礎的なレベルから、やや高度な質問まで、会計に関する知識を確認する問題をご用意致しました。
「会計は難しくてわからない」という方にも、「もうそんなことは知っている」という方にも、ぜひ問題に挑戦して、決算解読力に磨きを掛けていただきたいと思います。
上級編
1.有価証券の時価評価について
■金融商品会計基準による有価証券の時価評価について、以下の記述のうち適切なものはどれでしょうか。
a.すべての有価証券は時価評価の対象となり、評価損益はすべてP/Lに計上する。
b.有価証券のうち、売買目的有価証券とその他有価証券のみ時価評価し、評価損益はすべてP/Lに計上する。
c.有価証券のうち、売買目的有価証券とその他有価証券を時価評価し、評価損益は売買目的有価証券についてはP/Lに計上し、その他有価証券については純資産の部に計上する。
解答
2.土地の時価評価
■ 土地は現在すべて時価評価で計上しているのでしょうか。また、含み損や含み益はどこを見ればわかるでしょうか。以下の記述のうち適切なものを選びなさい。
a.土地の価格や収益性の著しい下落については減損会計を適用し、P/Lに評価損が計上される。
b.すべての土地は時価評価し、P/Lに評価損益が計上されている。
c.すべての土地は時価評価し、時価が簿価より下回った場合については、強制的に評価損の計上が義務付ける減損会計がすでに導入されている。
解答
3.退職給付債務とはなにか
■従来計上されていた、退職給与引当金に替わり退職給付引当金が計上されることになりました。以下の記述のうち適切なものはどれでしょうか。
a.確定拠出型の年金制度を採用することになった企業が従来の退職給与引当金に替え、退職給付引当金を計上しなければならなくなった。
b.従来の退職給与引当金は期末において従業員が退職したとしたならば支払わねばならない退職金の40%を引当計上していたが、退職給付引当金においては100%計上しなければならなくなった。
c.従来の退職給与引当金は企業が直接給付を行う、内部引当の部分だけであったが、退職給付引当金は、企業年金制度による外部積立分も考慮に入れて、引当計上をしなければならなくなった。
解答
4.連結決算の処理
■メーカーである親会社が販売会社である子会社に製品100億円を決算期末に売上げました。子会社ではまだこの製品を販売しておりません。以下の説明のうち適切なものはどれでしょうか。
(1) 連結損益計算書では、この製品の売上高100億円と売上原価100億円が計上される。
(2) 連結損益計算書では、この製品の売上高100億円と売上原価100億円の両方とも計上されない。
(3) 連結損益計算書では、この製品の売上原価100億円は計上されるが、子会社からの販売がまだされていないので、売上高100億円は計上されない。
解答
5.外貨建て
■国内で販売する目的でアメリカから商品を仕入れている企業があります。当期にA商品を仕入れすぐ販売しました。仕入を行った日のレートは1ドル100円で、仕入代金が100ドルです。支払はドルで、翌期に支払う予定です。以下の説明で適切なのはどれでしょうか。
(1) 仕入代金はまだ支払われていないので、仕入金額は計上しない。
(2) 仕入金額はとりあえず、1ドル100円の計算で10,000円で計上する。
(3) 仕入金額はとりあえず、100ドルと計上しておく。
解答
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解答: c
平成12年4月1日以降開始事業年度から金融商品会計基準が適用されました。これにより、有価証券の評価は保有目的別に区分し、その区分にもとづいて評価することになりました。まず、有価証券は保有目的等の観点から、売買目的有価証券、満期保有目的の有価証券、子会社及び関連会社株式、その他有価証券に分類します。次に満期保有目的の有価証券は償却原価法により、子会社及び関連会社株式は取得原価により、評価します。売買目的有価証券と、その他有価証券は時価により評価しますが、その際、生じる評価損益については、売買目的有価証券については、P/Lに計上し、その他有価証券については純資産の部に計上します。ただし、継続適用を要件として時価が取得原価を下回る銘柄の評価損益はP/Lに計上する方法によることも認められています。
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解答: a
土地は取得原価で評価しますが、減損会計の導入により、評価損は損益計算書に計上します。減損会計とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態であり、減損処理とは、そのような場合に一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理です。これは、金融商品に適用されている時価評価とは異なり、資産価値の変動によって利益を測定することや、決算日における資産価値を貸借対照表に表示することを目的とするものではなく、取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額です。
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解答: c
従来は、企業が直接給付を行う部分のみ、退職給与引当金が引当計上されていました。厚生年金基金制度や適格退職年金制度に代表される外部に積立てた資産を原資として退職給付を行う形態のものについては拠出金を支払時の費用として処理するだけでした。この外部積立て分について、その運用が失敗し将来の年金給付に必要な資産が不足した場合は企業が追加で負担をすることになっています。従業員が受取る金額は確定しているため、確定給付型といわれています。この外部積立てによる追加負担のコストを考慮に入れて引当計上をするのが、退職給付引当金です。近年この外部積立による退職金の資産運用に多額の損失が発生し各企業の追加コストが増加しているのが現状です。そこで追加のコスト負担がいらない、確定拠出型の年金制度が登場しました。この制度を採用した場合、各企業の拠出金は確定しているため資産運用が失敗した場合は従業員の年金受取り額が減少します。その意味で、リスクが企業から従業員に転化されたものと言えます。
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解答:(2)
連結決算は企業単体の経営成績や財政状態を見るものではなく、企業グループ全体の経営成績や財政状態を見るものです。親会社から子会社への売上は、企業グループ全体を一つとして見た場合、企業グループ内部での移動にすぎません。子会社からこの製品が販売されるまでは、売上に計上されることもなく、また売上原価に計上されることもありません。ただし、販売されていない資産は棚卸資産として、貸借対照表には計上されてきます。
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解答:(2)
外貨建による取引は原則として、取引発生時の為替相場による円換算額をもって記録することになっています。通常、仕入を行った日とドル建てによる支払いを行う日は異なっています。支払いを行った日にはその日のレートで支払金額が計算されますので仕入を行った日の金額とは、差が生じるのが普通です。この差額は為替差損益として損益計算書の営業外損益の部に計上されます。
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